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もっと走りを磨き込めた アウディQ8 50TDI ライフ中期の小変更 シャシーはそのまま

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もっと走りを磨き込めた アウディQ8 50TDI ライフ中期の小変更 シャシーはそのまま

堅調に売れてきたQ8がアップデート

BMW X6の好敵手、2018年に発表されたアウディQ8がアップデートを受けた。内容は比較的小さなものに留まるが、これまでの堅調な働きぶりを見れば、不思議ではない。

【画像】ライフ中期の小変更 アウディQ8 50TDI 競合クラスの大型SUVと比較 全167枚

アウディQ7に並ぶ豪華さを備え、洗練され力強い動的能力を披露し、優れた使い勝手をシャープなスタイリングで叶えてきた。僅かに引き上げられたコーナリング性能も、魅力となってきた。

欧州市場では、Q7とQ8の販売割合は概ね2:1。売れ行きも悪くなく、あえて大きな手を加える必要はなかったといえる。実際、シャシーやパワートレインに関わる更新はないようだ。

スタイリングの手直しは、主にフロント周りが中心。大きな8角形のフロントグリルのデザインが改められ、バンパー両脇のグリルは高さ方向に拡大され、好戦的な表情を作っている。

ヘッドライトは、マトリックスLEDへ更新。トップグレードのフォアシュプルングの場合、レーザーライトも備わる。デイタイムライトは、インフォテインメント用タッチモニターから、4種類の点灯パターンを選べる。

テールライトも新しくなっている。アルミホイールは、21インチから23インチまで、4種類の新デザインが追加された。ボディ塗装の選択肢も増えている。

豪華な雰囲気に満ちたインテリア

パワートレインは、286psを発揮するV6ディーゼルターボと、339psのV6ガソリンターボが選択可能。今回の試乗車は、前者の50TDIだった。また、2024年にアップデートを受けて登場するSQ8には、507psの4.0L V8ガソリンツインターボが搭載される。

同じ年には、プラグイン・ハイブリッドも更新される予定。ポルシェ・カイエンと技術的に近いため、電気の力だけで72km前後走れるようになると予想できる。

価格は、50TDIのSラインで英国では7万2729ポンド(約1316万円)から。SQ8のフォアシュプルングは、11万8000ポンド(約2135万円)前後になるだろう。

英国仕様の場合、サスペンションはエアスプリングが標準。アクティブ・アンチロール バーと後輪操舵システムも、仕様次第では装備される。

インテリアは、より自由度の高いエクスクルーシブ・オプションへステップアップする前から、豪華な雰囲気に満ちている。BMWの内装も最近は質感を高めているが、やはりアウディが強みとする分野だろう。

全体的にソリッドで、可動部分の動きは滑らか。素材の肌触りも心地良い。エアコンはタッチモニターで操作するが、アイコンが大きくレイアウトもわかりやすい。運転中でも、気をもまずに温度を変えられそうだ。

スタイリングも存在感が強いまま。当初ほどの新鮮さはないものの、充分にハンサム。低く構えたスタンスを持ち、優雅といえる雰囲気を放っている。それでいて、リアシートの空間にもゆとりがある。

速くても得られる達成感は高くない

一方で、5年という時間は短くない。当時は先進的な内容だったとしても、メカニズムへ手を加えなかったという事実が、プラスに働くとは考えにくい。アウディの強い自信の表れなのかもしれないが。

Q8の訴求力は保たれている。内燃エンジンを搭載するフラッグシップSUVとして、快適で上質な、全天候へ対応する秀でた能力を備えることは間違いない。

搭載するエンジンを問わず、Q8は不満なく速い。正確な操縦性で、迅速な地上移動を叶えてくれる。検討候補の上位に入っても、納得できる。

反面、それ以外のモデルに惹かれてしまう理由も残っている。V6ガソリン・ターボエンジンを希望するなら、基本的に同じユニットを搭載するカイエン・クーペの方が、英国では価格が安かったりする。

Q7より大きなホイールを履き、短いサスペンション・ストロークを持つQ8は、英国のように荒れたアスファルトで本来の能力を発揮しにくい。やや揺れが目立つ乗り心地を納得できるほど、ドライビング体験の充足感が高いわけでもない。

カーブが連続する道では、Q7よりライン取りしやすく、1ランク上のグリップ力を楽しめる。ニュートラルな旋回ではあるのだが、若干のぎこちなさも残る。

ステアリングホイールへ伝わる感触は薄く、フロントノーズは一拍おいて反応する印象。コーナリングスピードは速くても、得られる達成感が高いとまではいえないだろう。

走りを磨き競争力を引き上げられたはず

運転の楽しさにフォーカスを当てたいAUTOCARとしては、折角のアップデートの機会を、みすみす逃したように思えてしまう。今のアウディなら、走りで競争力を引き上げるべく、更に磨き込むことはできたと思う。

個性的な容姿など、Q8を欲しいと思う理由は理解できる。アウディらしいインパクトがあり、存在感も充分だ。

だが、このクラスの高級SUVをお考えなら、間もなくアップデートを受けるQ7の方が賢明かもしれない。思い切り運転を楽しめるモデルをお探しなら、ポルシェ・カイエンと、じっくり比べてみてはいかがだろう。

アウディQ8 50TDI クワトロ Sライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万2729ポンド(約1316万円)
全長:4986mm
全幅:1995mm
全高:1705mm
最高速度:241km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:9.3-10.4km/L
CO2排出量:201-232g/km
車両重量:2160kg
パワートレイン:V型6気筒2967cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:286ps/3500-4000rpm
最大トルク:61.1kg-m/1750-3250rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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